黒縁眼鏡をかけている自分がどれだけ野暮ったいかなんて百も承知だ。
通学途中目立たないようにあえてそうして通学している。

長い髪だってバスケをやっている私にはものすごく邪魔で、バッサリ切ってしまいたいのに、美月も両親もそれを許してはくれない。

見分けがつかない程の可愛い容姿の双子なので、髪型も二人一緒じゃないとだめなんだと小さな頃から私たちはいつも同じにさせられた。

器用で愛想のいい美月と、不器用で無愛想なくせに正義感が強くて口の悪い私。

見た目は同じでも、中身はまるで違う可愛げのない女の子……。

それが私藤咲菜月だ。

美月が悪いわけではないが、比べられて美月と同じ容姿だからと近づく男の子に、中学時代は何度も傷つけられた。

比べられることが嫌で、高校はあえて美月と違う男子がいない女子校を選んだ。

もう、美月と間違えられたくないし美月のかわりになんてなりたくない。

通学中の野暮ったい私はあえて美月と間違えられないように眼鏡をかけて通学している。

髪の毛だって無造作にひとつに束ねて通学していたのに、美月と母がお願いだからそれだけはやめてと美月が毎朝私の髪をセットするようになった。