藤咲はさらにちょいちょいと人差し指で俺を呼び寄せ

「服部くんにだけ特別に教えてあげるよ」

と親も知らない二人の見分け方を耳元に顔を近づけこそりと教えてくれた。

へー。

でも俺は多分、彼女と藤咲を見分けられる自信がある。

とにかく、来週彼女に会えるし初めて話ができる!

にやけそうになる顔をどうにか引き締めて、藤咲に

「この事は誰にもいうなよ!
とくに、姉ちゃんには絶対だからな!」

と何度も念を押す俺を、からかうように無邪気に笑いかける藤咲に、不覚にも顔を赤くして心拍数はすっかりMAXで…。

しかめっ面でふいっとそっぽをむいてぶっきらぼうに言う。

「同じ顔であんまこっちみんなよ…」

菜月が好きなはずなのに、藤咲に笑いかけられてドキドキする自分に俺は…微かに動揺していた。