1年の時から同じクラスだが、女に興味がなくて近寄られたくない俺は、クラスの女とは必要以上の会話をしたことがない。

たがら、藤咲ともまともに話したこともいままでなかったし、まじまじと正面から顔を見たことももちろんなかった。

頬杖をついてもう一度じっと見た藤咲の顔はやっぱり、彼女とよく似ていた。

「なぁ、藤咲って姉ちゃんいたりする?」

叶以外誰も知らない俺の密かな想い人。

毎朝会う3両目の眼鏡の彼女。

彼女によく似た面差しの藤咲に、気がつけば俺はそんな質問を投げ掛けていた。