「今日の席替えでね隣の席になれたの!!
はじめてたくさん話ができてね、部活の後はいつもお腹すくっていうからね、お菓子作っていくよって言ったらすっごく喜んでくれて!

…ょうくん女の子に人気があるから諦めかけてたんだけどもう少し頑張ってみようかなって」

興奮して話す美月の声が遠くで聞こえる。

今朝頑張ろうって思ったばかりなのに。

美月は服部くんのこと "しょうくん" って学校で呼んでるんだ…。

他校生であることの距離を感じ胸が苦しくなる。

美月が諦めかけるくらい女の子に人気がある現実に、毎朝電車で見かけるだけの私なんて、視界のすみにちょっぴり掠めている程度の存在なんだろう。

「ご馳走さま。美味しかったよ。私…着替えてくるね」

これ以上美月の口から服部くんのことを聞きたくなくて、私は逃げるようにリビングを飛び出した。