「……美月として会って話しても……ね…」

名案だと喜ぶ千晴を見ながら、私は困り顔で笑う。

「あっ!! そっか!
そんなことして近づいて、美月のこと好きになったら困るもんね」

「うん…」

中学の時にいたずら心から近づいた想い人は、美月に心を奪われた。

私たちは好みがよく似ている。

高校に入ってすぐ、私が通学電車で服部くんに心を奪われたころ、美月もクラスメートの服部くんに心を奪われた。

昔からタイミングはほとんど一緒。

そしてみんな素直で愛想のいい美月に心を奪われるのだ、

「…ねぇ、菜月はさ、いつまでそうやって欲しいもの諦めるの?
どうしても手に入れたいものは美月に遠慮しないで全力で取りにいかなくちゃずっと幸せになれないよ?」

心配そうな顔をした千晴が私を見つめていた。