みんなが帰った静かな病室。
額の縫った傷はズキズキ痛み夜には発熱もした。

でも…身体中が熱をもっているのはたぶんそれだけが原因ではないと思っている。

服部くんの体温と彼の香り…。

そして…キスをした…。

嬉しかった。

私を美月の代わりじゃなく私だけを見てくれていることが。

ありがとう、服部くん。

私を見つけてくれてどうもありがとう。

暗い病室の布団に潜りそっと開いた携帯画面。

待ち受け画像は服部くんと一緒。

これから彼とのやりとりや写真がどんどんこの中に残され積み重なっていくんだろう。

傷の痛みなんてたいしたことない。

この間までかかえていた胸の痛みに比べたらなんてことない。

こういうのを "ケガのコウミョウ" って言うんだろうか。

あれ?使い方違うかな。

まぁいっか。

どちらにせよ、ケガをして心配されておまけにお父さんにまで会ってしまった…。

…キスをしたことも…お母さんや美月、叶くんにも…バレた。

恥ずかしい…。