「叶、余計なこと話しすぎ」

ムッとした顔の服部くんは、叶くんをひと睨みしてその後すぐに私をじっと見つめ、カーテンを掴んだままその場に立ち尽くしていた。

「ごめん…」

ぽつりと呟いた声は弱々しくて、今にも泣きそうな顔をした彼は私に近づくことなくその場から動かない。

美月は私に目配せして、電動ベッドのリモコンをいじり寝ていた私の身体を起こすと
「お母さんもうすぐくるから私待合室にいるね。
叶くん、それまで私の相手してくれる?
服部くん、お母さんくるまで菜月をお願い」

「またね菜月ちゃん。お大事にね」

手をひらひらさせて二人がいなくなると、静かになった二人きりの空間に緊張する。

「……」 「……」

無言で見つめ合ったまま数秒。

服部くんがゆっくり私に近づいてきて、伸びてきた大きな手がそっと頭をなでた。