「大丈夫です…」

「ここ、左の額。得点板にぶつけたってきいたけど深く切れててね。
出血がひどくて縫ってある。
女の子の顔だからね、傷が残らないように頑張ってはみたよ」

先生に言われて触れた額には大きなガーゼがあてられていた。

あんな夢をみてしまったせいだろうか。
先生にお礼を言うつもりが

「別に…。
傷、残れば良かったのに…。
そうすれば美月と見分けやすくなるのに…」

そんな言葉が口からもれていた。