「また“無色”が出たんだって~」




昼休みの開口一番。


日差しの強い中庭に、ベコッと大きな音を立つ。


あ、しまった。
200mlの牛乳パックがへこんだ。




「“無色”って……あんまり情報のないグループ、だっけ?」


「あんまりっていうか、なーんにもわかってないとこ」


「その“無色”が出たってことは……またどこかの族がつぶされたの?」


「さあ? どうなんだろうね。出たってのもうわさだし。……でも、誰かしら殺られてそうだよね」




のんきだな、薫は。

中庭でパンを食べてるこの状況もたいがいのんきだけど。




「なんで情報が何もないんだろ……」


「“無色”と会ったヤツらが全員殺られてるからじゃない?」




軽く言うなよ!

ぞっとするだろ!




「“無色”……怖いなぁ……」


「“無色”もだけど、ポニーテールと中坊のことも忘れないでよ?」


「わ、わかってるよ!」




情報が少なくて怪しい人物が多すぎて困る。


竹刀を持った長髪男子はやっぱり西校にはいなかったし。

みんなどこに隠れてるんだ。隠れるのうますぎ。




「そういえば昨日どっかの雑魚に追われてたみたいだけど、逃げてるときにそれっぽい人とか見かけなかったの?」