『生き別れの娘が会いに来たよー』




薫からの新着メッセージ。

送られてきた写真には、記憶に新しい小さな女の子がダブルピースをして写っていた。



……ムスメ? 娘だって?



「俺に娘なんかいませんけど!?」



津上さんと別れてから全速力でたまり場へ駆けつけてみれば。


幹部室では優雅にティータイムを楽しんでいた。



薫と柏のいつものメンツと


……それから

昨日助太刀してくれた女の子が。




「あ、遅かったね。白薔薇の子とのデートはもういいの?」


「デートじゃないし!」


「あーそう? どうでもいいけど」


「というか娘ってなんだよ! 変なこと送ってくんなよな!」


「この子が早く会いたがってたから送ったんだよ。その冗談のおかげで急いで来たでしょ?」




この策士め。

赤のソファーに座る薫は、ダージリンを飲みながら「結果オーライだよねー?」と隣の女の子とほくそ笑む。




「つーかよー、希勇、お前やべーな」


「え? 何が?」




黒のソファーには、柏。手づかみでショートケーキを食べ、ドン引きした目で俺を見てくる。


な、なんだよ。
俺、何かやらかした?

てかそのケーキどうしたんだよ! ずるい!




「全部聞いた」


「き、聞いたとは……?」


「ガキ巻き込まねぇといけねぇ状況ってよっぽどだぜ? ダサ」




全部って……! この間のこと全部か!

柏のもっともな意見がグサリと刺さる。




「そ、そっか……聞いちゃったのか……」


「ああ。待ってる間ヒマだったし」


「だよな……俺もそう思うよ……」


「ダサ」


「2回も言うな!!」




でも協力を頼むしか、無事に守り切る方法が思いつかなかったのも事実だし……。


俺がもっと頭がよければ、かしこい選択ができたのかな。