俺はお前しか好きになれない。

「なにそれ」と笑われたから取り上げようとしたけれど、気づいたらラッピングを外して口に入れていたから遅かった。




「味"は"うまいよ」

「味"は"ってなに!?だからあげないって──────」



最後まで言えなかった。言わせてもらえなかったのほうが正しいかもしれない。



「んっ……」



咲夜の唇が私の唇を塞いだから、あまいチョコレートの味が私の口にも広がる。

唇を押さえて顔を上げるとニヤリと笑みを浮かべる咲夜がいて、動揺を隠し切れない私を見てまたニヤッと笑った。



「大人しくなった」




咲夜が勝ち誇ったように、はは、と笑う。

悔しいのに、その顔も好きだと思ってしまう私は重症なのだろうか。恥ずかしくなって下を向いた私の顎をグイッと上げて、視線を合わせた。