「名前呼ばれるのが嫌だったんじゃなくて……っ咲夜が……チョコもらうのが嫌だったんだよ……?すきだよ、すきじゃないってなに」




顔をあげられない。こわいから。急になんだよって思われているかもしれないから。なによりも恥ずかしいから。



「チョコなんてもらってないけど?」
「え、だって昨日もらうって言ってたじゃん……っ」

「それはお前がかわいくないこと言うからだろ。俺ばっかお前のこと好きみたいで悔しかったんだよ」



私の素っ頓狂な声が洩れる。さっきまで、もちろんいまも恥ずかしいけれど、恥ずかしいよりも驚きが勝って衝動的に顔を上げてしまった。

私を探して、寒さで赤くなった顔、冷たい手がある。彼と久しぶりに目を合わせると、大きな双眸が私をとらえていた。