「玲、あの時は本当にすまなかった。
 俺達がちゃんと調べれば直ぐに分かったことだったのに・・・。」

俺は玲に頭を下げた。

隣に座る二人も一緒に頭を下げていた。

「もう、いいの。
 あの事があったから、今の私がある。
 きっと、私には必要な出来事だったと思うから・・・。」

「今回の美乃里の事も申し訳なかった。
 二度とこんな事がないようにする。」

玲は二度と俺達の元には戻ってこない。

だが、今度は俺達が玲を護ることはできる。

「大神組の若頭、俺はまだまだだ。
 だが、今後期待を裏切ることはない。
 今回、あんたに会ったことで俺はあんたについて行きたいと思った。
 そして、いつか肩を並べ支え合っていきたいとも思う。
 どうだろう、兄弟の盃を俺と交わしてもらえないだろうか。」

俺のこの言葉は意外だったようで、少し目を見開いた後

「分かった、いいだろう。」

そう応えると、今井数馬に目くばせした。

今井数馬は席を立ち、暫くすると二つの盃と酒をテーブルの上に置く。

「簡単だが、ここにいる皆が証人だ。
 俺と響は今日から五分の兄弟分となる。
 いいな。」

まさか、五分の兄弟分になれるとは思っていなかったが、そこまで俺を
信じてくれるという事に、喜びを感じた。

「はい、よろしくお願いします。」

お互い盃の中の酒を飲み干し、懐にしまう。


俺は真直ぐな目を龍生に向けた。



春日井響said end