私は自室の窓から、庭のテーブルで魔法書を沢山積み上げ、真剣な瞳で読み考えている我が娘の姿を眺めていると、自身の過去の事が自然と頭の中を巡っていました。

私は婚前、辺境伯令嬢ステファニー.テイラー。

現在の私は、ハインツ公爵夫人です。5歳の可愛い我が子が大好きで、旦那様も愛しておりますが、時々妹の事を思って、苦しくなってしまいます。
考えたくなくても、自然と…ふとした瞬間思い出すのです。


「お姉様は良いですわね。
美人で性格も頭も良くて。
両親や兄上や弟にも信頼されていて。その上、とても素晴らしい次期公爵のライアン.ハインツ様と、これからもずっと一緒生きていけるのですから。

ほーんと羨ましいですわ。
わたしなんて、ずーっと貴女と比較されて来て、初めて好きになった方まで奪われて、貴女はなに? わたしが、苦しむのを見て楽しんでいるの?ほーんと、嫌な奴。
あんたなんて、幸せにならなければ良いのに。
私はぜーったいにあんたを許さないから!!」


ダニエラ………………………

私とライアン様の結婚式が始まる前に、2人で話した時言われた言葉………

あれ以来。会っても、私には睨むばかりで、時々手紙等を送ってくるみたいです。
旦那様が私の手に届く前に、処分なさってくれている事は…薄々気づいています。
どうしようもないと思う事は、良く理解していますが、時々心が痛くて折れてしまいそうになります。

旦那様とマシェリーが支えてくれるから、どうにか立っていられます。
身内に嫌われるのはとても辛いです… 涙目になりそうな時、今まで魔法書を読んでいたマシェリーが、こちらを見上げてニコリと可愛い笑顔をみせてくれました。

何故か?今までの暗い気分が無くなり、身体をフワリと暖かい空気が包んで気持ちが軽くなりました。


「私もマシェリーと、庭でお菓子を食べようかしら?そうしましょう!」


私は庭へ出るために、自室の扉を開け階下へ向かいました。