「なんだ、なんなんだよ!
あれは、私はぜーたいに許さない。
なんだぁ私のマシェリーがぁあんな見た目も身のこなしも性格も女に素っ気ない所も威厳もある男なんかに、渡してなるものかぁ~
その上献身的だ!あ~~」


ここの所毎日の様に、私の執務室に来ては叫んで行くのは、我が悪友ライアンだ。
今日も勝手に来て勝手に椅子に座り、勝手にお茶とお菓子を食べている。


「うるさい。本当にうるさいんだが。
私の執務室に来て叫んで行くのは、やめてくれないか。

それにな毎回聞くに、なんて極上の男なんだよ。
ライアン最初からお前は、ずーっと褒めてるぞ。
あんな男に惚れられたら、逃げれないな。
なんだか、しつこそうだしな。
彼は、一部の者しか知らせてはいないが、お前みたいに言わなくても解る者もいる。
彼がかの昔、この国を守り抜いた英雄である事を!
本人の強い希望で、普通の貴族として接してはいるが、あれは規格外だ。

私に、皇帝の座を譲れと言われたら、私は差し出す気ではあったのだ。
本人はサラサラそんな気は無さそうだが、マシェリー嬢を見つめているだけで、充分満足!ってのが、怖いくらい感じられるしな。

でも彼は記録に残された、文章にある彼とはイメージが違うな…まぁ500年は長いか…」


「うーすまん、わかってはいるんだよ。あれから半年経つしな、あの男の本気も毎日の様に見ている。

王宮のあの部屋で、マシェリーは目覚めないまま眠っている。
銀色の光に、包まれたままな。
あの男は、隣の部屋に住み込み、マシェリーだけの為に生きている様に、過ごしているからな。
私も、住み込みたい所だが、仕事もあるしあの2人の間には絆を感じるんだ。
何だろな悔しいけれど、あの男に任せておけば大丈夫の様に思うんだよ。
悔しいがな」


私はライアンの肩を、優しく叩きながら。


「私には娘は居ないが、何となく気持ちは分かるよ。
酒しか付き合えないが、呑みながら愚痴ぐらいは聞いてやるよ」

「すまん。皇帝のお前に、こんな情けない所を…
王太子様が隣国の第1皇女様と御成婚式とパレードが、終了したばかりだと言うのに…」

「別に成婚したのはフレドリックであって私では無いし、私は別にすることは無い。
周りや妃が忙しいだけだからな。
ライアンが来てくれていたのは、楽しかったから安心しろ。

ライアンが王宮で、畏まって皇帝として接していられると、距離が遠く感じてな。
最近マシェリー嬢のお陰で、ライアンの壁が無くて、昔の学園時代を思い出して楽しかったんだ」

「そうだな。今日はお互いの未来に祝して呑もう!悪友よ!」