今日も私は、いつもと同じ一日を過ごすのだろうと思っていたんだ。

朝起きて、隣のステファニーを起こさない様に、執事アーネストの準備で洗顔.整髪.服を着た。

軽い朝食を済ませ、朝の早いものだけの見送りを受け、馬車に乗り王宮へ行く。30分程で私の執務室の扉を開ける。
後は、とにかく書類の山の処理だ!
時々思い出した様に休憩を入れ、羨ましく窓をみては又机の上の書類の山だ。

そんな午前を過ごしていると、外から大きな足音が聞こえた。
私の執務室の扉の前で止まり、扉を叩く音がし私が応答すると、焦った顔の近衛騎士が顔を出した。


「申し上げます。先程王宮へ、マシェリー様が意識を失った状態で運び込まれました!」

「なんだとー」

一気に目が覚めた!

「何処に居る!連れて行け!!」

「はっ」


姿勢を正し敬礼した騎士に、連れられ、王宮の奥まった場所にある部屋の扉を開けられた。

何故こんな場所の部屋なんだ!?
マシェリーはどうなっているんだ?
ただの状態なら、こんな奥まで入れないだろう?
よっぽど隠さないとならない場合の部屋ではないか!!
私は不安と心配と自分がどうにかなりそうな程の状態で、マシェリーを探した!

開けて直ぐは、椅子とテーブルの誰もいない部屋で、奥に続扉が見えた!
走り寄り勢い良く開けると、其処にはベッドに眠るマシェリーが居た!

それは、そのマシェリーは…ベッドの中で銀色に輝いて目を閉じていた…
何故何故こんな事に、不思議と幸せそうに見えるのは何故だろう?


「マシェリー…」


私は動けず、ベッドの横に佇んだままだった…何がどうなってるのか?
どうすれば良いのか判らない、ただ生きているのは確かで、外傷も無さそうなのは安心した。

眺める私に、横から声がかかった!
びっくりした!気付かなかった!
人が居るなんて、少しも気配が無く、横を伺うと20過ぎの精悍で妙な威圧感と威厳と風格を醸し出す、男が居た!?
此奴は誰だ?私は見たことも無い?
嫌、何処かで見たことあるが判らない男!?何処で見たのだろう?何故知ってる!自分の頭を整理して考えていると、一つの肖像画を思い出した…


「貴方は…バージル皇帝陛下?」



私はあり得ない事に頭が真っ白になった。
あり得ないだろう!だが、似過ぎているのだ。と、自問自答を繰り返していると。


「流石はマシェリーの父親だな」


私は、声にならない叫び声をあげた。