今日は急遽、午後からの授業がお休みになったので、わたくしの部屋でメアリー手作りケーキを前に、お喋りに夢中になっていますの。


「お嬢様方ロールケーキはいかがでしょうか?」


さっきは、フルーツたっぷりタルトで、次は生クリームたっぷりロールケーキですか!?流石メアリーですわ。
机は可愛くレースで覆われ、その上に可愛いティーカップセット。
ケーキも色鮮やかなタルトや焼き菓子が並び、その上フンワリふわふわしっとりロールケーキ!最高ですわ。


「メアリー勿論いただくわ!
だんだん美味しくなっていてよ、特にスポンジがしっとりとしてきましたわ。
最初の頃は、少しパサついていましたし、中心の果物が片寄っていて見栄えが良くなかったです。
今は味、見た目共に完璧ですわよ。今回のロールケーキも楽しみですわ」


「本当に美味しいよ!ケーキもだけど、このお茶の入れ方も完璧だよ。
流石は、料理長に特別に教えて貰っているだけはあるね」


,,ぐっちゃぐっちゃぐっちゃ,,
「な、な、な、なにをおっしゃられているのか解りません!」


メアリー~
わたくし用にカットしてくれているケーキが、切り刻まれていきます。
食べれば一緒ですが、できれば綺麗な方が…グスン…


「付き合っているんでしょ。
先日6年生のお姉様が、料理長に告白したら付き合っている人がいるからって断わられてて、今現在料理長に特別にされているのってメアリーだもの!」

話の合間に、わたくしの前に切り刻まれた無残なロールケーキがやって来ました…
食べますわよ。勿体ないオバケが出てきますから。


「流石はエマ様、情報通でございますね。
そうです、先週告白されまして、私も好意を持っていましたので受け入れさせていただきました。
お嬢様に報告せずに申し訳ございません」


「いいのよ。メアリーが幸せならそれが一番よ」


メアリーが真っ赤な顔で、申し訳なさそうに謝っています。
こんな時は、笑顔での報告が聞きたかったですわね。
恥じらいのあるメアリーですから、言いにくかったのでしょうね。


「でもメアリー大物釣り上げたよね。
ガッチリイケメンで、貴族ではないけど料理の腕は、今では国一番よ。
王宮も引き抜きたがっているのに、学生に美味しいものを提供したいって、何年も断っているらしいね」


エマ、喋りながらも手と口は、品良く絶え間なく動いていますわね。
凄いです流石エマ。


「凄いですね。流石エマ様です。料理長の内情を、良くご存知で」


「でしょう私、将来この国の情報を国中に知らせる本を、出版させたいのよ。
将来は、国中をあつかうのだから学園の情報位は色々知っとかないとね」


それって。週刊誌の記者みたいなものかしら?エマっぽいですわね。


「エマ最近の学園には何かしら問題は無いのかしら?」


「うーん……問題は今の所は無いけど。
今の学園は注目されている人物が多くて面白いかなぁ~マシェリーもそのひとりだからね。

後は、第二王子とその周りの人物達、親が大物が今の学園多いのよ。
エドウィン様もいるしね。ルビーレッドの髪に、鮮やかなレッドの鋭い瞳は只者じゃないよ。
第二王子様もなかなかのくせ者だけどね。

今の生徒会役員や風紀委員会は、イマイチだけど今の補佐だから、来年の役員達はなかなかの個性豊かな面々がいるよ。
来年は、王子様が会長でしょ。
風紀委員長はジャックだし。
あの父親譲りの鋼鉄の肉体は、惚れ惚れするよね」


ペラペラと、まくし立てるように喋るエマに、少し圧倒されましたが、なかなかに興味深い内容ですわね。
メアリーも横で聞き入っていますわ。


「ジャック様のお父様は、何をされているの?」


「国一番の鍛冶屋の頭領をしてるのよ、あの人の創る剣は神業なんだから」


「わたくし、剣とかは詳しくないけれど、そう聞くと見てみたい気もしますわね。
話は変わりますが、来週の学園イベントは上手くいきそうですの?」


「あれ?婚約者の心配?」


「違います。来週なのに情報が余り回ってないので、何を企画されているのかと思いまして」


「えー教えたら面白くないから、教えない。来週には解るんだから、良いじゃない」


「エマが言うなら、楽しみにしてましょ。でもレオナルド様のエスコートは目立ちそうで嫌ですわね」


「がんばってぇ~マシェリーそろそろ私部屋に帰るね。
メアリーロールケーキごちそうさま」


「エマまた明日学園で会いましょう」


「ほ~~~~~い」


エマは、食べて喋って笑って、あっと言う間に去って行きましたわ。
台風みたいな子ですわね。

これが世に言う女子会というものでしょうか。