(キンダム領屋敷)


「ライアン様、この度はありがとうございました」


キンダム伯爵領地で、お互い忙しい数日を過ごし、やっとゆっくり2人の時間が過ごせる夜がきました。マシェリーも別室で寝かしつけ、それぞれの就寝準備も終えベッドで2人手を繋いで見つめ合い、くつろぎながらの旦那様との会話を楽しんでいます。


「ステファニーこれは私の仕事だからね、君にお礼を言われる事は 無いよ。
たまたまノース・キンダムと話す機会があってね。
ダニエラの気持ちを知って何かおかしいと思い調べていたら、最近調べ始めていた違法薬物と重なったって事だけだからね。
ただもう少し早く調べ始めていたら、キンダム伯爵は亡くなっていなかったかもしれないね。
ダニエラも、一生残るであろう身体の傷を作らなくて、済んだかもしれないという事が悔やまれるかな」


旦那様は、憂いを帯びた表情になりながらも、笑みを浮かべて私を抱き寄せてくれました。


「それは、貴方が背負う事ではありません。
それだと、全ての事を貴方が背負って行かなければいけなくなるではないですか。
ダニエラも、あんな素敵な旦那様もいます。
強い子ですもの大丈夫ですよ。
明日もあの子のお見舞いに、行きたいのですが…旦那様は王都の方にはいつ頃お帰りになりますか?」


旦那様は、少し悩ましげに顎に手を当て考えています。
私の旦那様……仕事に対しては、ストイックな方ですが本当はとても優しい方です。
そんな所が、大好きです。


「そうだね…だいたいのこちらでの、後始末も終わったし。
ミネルバ夫人や悪事に加担していた者達も、騎士団と王都に向かったのがそろそろ着く頃だからね。
私も、残りの騎士達と騎乗して、明日にはこちらを出ようと思っているよ。

何、悲しそうな顔をしているんだい?
君達はもう少しこちらで、ゆっくりしてから帰っておいで、王都で待っているからね。
……マシェリーが、ニコラスみたいな弟が欲しいらしいから、その願い叶えてあげたいね。
今から 6年後は、マシェリーは王都の東の高台にあるサンタフェリカ学園に、入寮する事になるから、それまでには可愛いい子供が欲しいな…」


「……ライアン様………私も欲しいです」