わたくしは、只今幸せと地獄を両方体験しております。
幸せは、わたくしの膝枕によりスヤスヤ寝ています天使君。
地獄は、3日目になります馬車での移動です。

わたくしやはり、馬車は嫌です。
腰は痛くなりますし、首はカクカクしますし、偶に飛び上がりますのよ! 車でビューンって走ると、爽快でしょうね…

辺境には、2週間滞在しておりましたわ、とても楽しい日々でした。
今はガタゴト馬車の中ですが、そろそろニコラス君のお家、キンダム伯爵地に着くのらいしのですが…何やら、お母様の様子がおかしいのです。
笑ったり悩んだり泣きそうになったりと、馬車の中で百面相しているみたいですわね。
見てる分には楽しいのですが、何なのでしょうか?暗い感じではないので、安心なのですが。


「マシェリーそろそろニコラス君を、起こしてあげなさい」

「はい、おかあさま。ニコラスくんおきてください、つきましたわよ!」


パチっと、ニコラス君の可愛い穏やかな茶色の瞳と上下で目が合いましたの、近っ!ひざ枕での目線を合わせる行為は危険ですわ。


「おはようございます。マシェおねえちゃん!」

「さぁあなたたち支度をして、もうすぐ到着しますからね、忘れ物無いようにね」

「はい、おかあさま」
「はい、おばちゃま」


馬車が止まり、扉が開きました。


「わぁ~なんですの!カラフルですわぁやまとうみとかわいい、いろいろな、いろのおいえがいっぱいありますわぁ~」

「マシェおねえちゃん。ここがぼくのりょうちなんだよ、きれいでしょ!!」


とても綺麗で、可愛い所です。
たしかイタリアで似たような風景を、見たような気がしますわ。


「ニコラスくん、とてもきれいでよいところですわねぇ! ずっーと見ていても、みあきませんわ」

「君達疲れたでしょう」

「おとうさまぁ~」


わたくし背後から、ヒョイっと力強い腕で、抱き上げられましたわ!
横では、ニコラス君も優しそうな騎士の方に、抱き上げられてほっぺにいっぱい、キスされていましたわ。


「おとうさま!」


ニコラス君は、泣きじゃくっていましたわ。

わたくし達はお互いに、お父様達に抱き上げられたまま、可愛い街を歩いていますの。
周りを見渡しても、まるでオモチャ箱みたいですわね、少しワクワクします。

お父様達の話を聞くと、わたくし達は診療所に行くみたいですわね。
着いたみたいですわ。
こじんまりした診療所で、オレンジ色のとても可愛らしい形の屋根をしていますのよ。
中に入って行きますと、内装もお洒落で可愛い建物ですわ。

あるお部屋の前に皆で立ち、お洒落な扉をニコラス君のお父様が開けると、向かいに大きな窓が開いていて爽やかな海風がわたくし達に向かって吹いてきますわ。
とても気持ちの良い風ですわね。
それにこの部屋は、海と街並みが一枚の風景画のような、とても見晴らしの良い居心地の良さそうなお部屋に、大きなベッドが1つあり鮮やかな紫色の髪でローズウッド色の瞳の魅惑的な女の人が、涙を流しながらベッドの上にいましたの。


「ニコラス…お姉様……」

「おかあさまぁ~~~~~」


ニコラス君と魅惑的な女の人はぎゅっと抱き合って、ニコラス君のお父様も2人を抱き締めていました…

わたくしとお父様お母様は、そっと部屋から出ました。
診療所内にある喫茶店で、こちらの領地で作られているベリー系の実をふんだんに使ったタルトと、ベリー系の冷たい爽やかなジュースをいただいております。

食べながらお父様から、先程の魅惑的な美女はニコラス君のお母様で、大怪我をしていたけど今はもう起き上がれるまで回復したことを、教えてもらいました。お母様も嬉しそうにタルトを食べていますし、お父様も笑顔でいますし、わたくしも幸せですわ。