「まあ、いいけど……みんな勉強しなくていい訳？」


「も〜ちーちゃんは真面目過ぎ！赤点取らなきゃ大丈夫だよ〜」


可愛らしい声で喋るのは磯貝さんのグループのひとりの松風 雨音(ﾏﾂｶｾﾞ ｱﾏﾈ)さん。



「ま、千聖の親が厳しいんだからしょうがなくね？私たちと遊ぶためっしょ」


「そうだね！千聖〜ガンバ！」


「ちーちゃん、頑張って〜」


3人の心のこもってない応援を聞いた本庄さんは笑って「ありがとう」と答えた。それを見た3人はまたすぐに別の話を始めた。


本庄さん、どうしてそんなに悲しそうな顔をするの？



すると、悲しそうな表情を見せながら本庄さんは立ち上がり、教室を出ていった。



「ごめん、私トイレ行ってくる」


「もうすぐチャイム鳴るぞ？」


「すぐ戻るから！」


私はそんな彼女を追いかけるように教室を出ていった。


「本庄さん……？」


本庄さんは近くの階段に座り込んで顔を伏せていた。私が声をかけると本庄さんはゆっくりと顔を上げて私と目を合わせた。


「なに……」


機嫌が悪そうなその声は怒っているようで苦しんでいるようで胸が痛かった。