「神崎さんって髪、染めたことないよね?」


「な、い……」


本庄さんは自分の金色の髪を触りながら私の方を見つめていた。



「私、黒髪の方が好きなんだよね〜。でも明菜とかが染めろって言うから染めた。この濃いメイクだって同じ」


「そう、なんだ……」


本庄さんから直接いじめられたことは無いけれど、磯貝さん達と同じグループと言うだけで怖くて震えが止まらない。


「私、なんにもしない方が似合うよね?」


だんだん本庄さんとの空間が息苦しくなって、声が出なくなっていた。私はとにかく反応しなくてはと首を縦に振った。



「明菜に神崎さんをいじめろって言われたからいじめた。監視しろって言うから監視した。噂を広めろって言うから噂を広めた」


本庄さんの声がだんだん低くなっていった。その声はまるでもがき苦しんでいるようだった。


「私は彼女たちの言いなりなの。逆らったりできない。だって次は私が虐められるかもしれないから。だからあなたをいじめるの。嫌な奴だって思うでしょ?」


「そ、んなこと……思わない、よ」


何とか気持ちを落ち着けて、やっと出た声はとても震えていた。