どうしよう……。

学習室には卒業した先輩方が寄付してくれた教材がいっぱい置いてある。だからボロボロにされた教科書もあるかもって見に来たのに……本庄さんと2人きりなんて!


「何もしないから」


私が扉の前で入るのを躊躇していたからか、冷たい声で本庄さんは言った。


「あ、りがとう……」


私は恐る恐る学習室に足を踏み入れて本棚にある教材達から教科書を探し始めた。

早く見つけて帰ろ……。


なるべく本庄さんを視界に入れないようにしながら探し続けた。しばらく探していたけれど、私が欲しい教科書はどこにもなかった。


仕方ない、今日は諦めるしかないか。


そう思って帰ろうとした時だった。


「ねぇ、どうしてあの2人と仲良くなったわけ?」


今まで静かに勉強していた本庄さんが私に向かって言った。



どうしていきなりそんなことを?もしかして磯貝さん達に変な告げ口をするつもりなんじゃ……?



「友達になってくれて……」


「そう。あんなに酷い噂流されてたのに。その2人は流されなかったってことね」


「え?」


また冷たく痛い言葉を投げかけられるんじゃないかと覚悟していたのに彼女から出た言葉は全く違うものだった。