私の教科書はすぐに見つかった。
と言うよりそこしかなかった。

“ゴミ箱”

しかもご丁寧に使えなくなるくらいにまでボロボロにされていた。



「浮気女がゴミ箱漁ってる〜」

「ゴミ箱と浮気女、お似合いじゃね?」

「てか、まじで奏くんたち可哀想〜」


中里くんは職員室に呼ばれ、野田くんは部活で呼ばれ、2人は今居ない。それをいいことに私をいじめ始めた。



「ねぇねぇ、どうやって奏くんを誘惑したの〜?教えてよ〜」


「あ、私も知りたい〜!」


磯貝さんのグループがそう言い始めると他のクラスメイトも同じように私を馬鹿にしてきた。

でも本庄さんはそれに参加せず、スマホを見ているだけだった。



本庄さんは私のいじめをどう思ってるんだろう。


少しだけ本庄さんを見つめていると、つい彼女と目が合ってしまった。私はすぐに目を逸らして捨てられた教科書を持って自分の席に戻った。



「神崎、その教科書!」


職員室から戻ってきた中里くんは私の悲惨な教科書を見て事情を聞いた。


「なんだよそれ……。それでどうやって勉強するんだよ」


「いいの。気にしないで。こんなの普通だし、変に刺激しないで……」


中里くんはとても怒った様子だったけど、私のその言葉を聞いて我慢してくれた