本庄 千聖(ﾎﾝｼﾞｮｳ ﾁｻﾄ)さん。

私を積極的にいじめてくる磯貝さんグループのうちの一人。彼女は私を直接いじめたりはせず、遠くから見ていたり、先生が来ないか監視をしたりしていることが多い。

私は中里くんから口から彼女の名前を聞いた日から今日までバレないように彼女を観察していた。



「それで、何かわかった？」


「いや、全然」


朝早くから学校に来て、期末テストの勉強をしながら私は中里くんと話していた。



「本当に本庄さんだったの……？」


「ぜってぇあってる」


どうして本庄さんが私が死んで悲しむ必要があるんだろう。良心が痛んだとか？


私は数学の難しい問題を解きながらも頭の中は本庄さんでいっぱいだった。



「神崎って頭いいんだな」


「そう？」


「俺、全然わかんねぇもん」


そういう彼の問題集を覗いてみると、答えとはかけ離れた全く違う回答が書いてあった。


「え、本当にこれが正解だと思う？」


「そう思ったからこう書いた」


中里くんって頭良さそうな感じしてたけど、そういう訳でもないんだね。



「この問題はこの公式を使って解けば、簡単に解けるよ」


私は中里くんに教科書の公式を指しながらそう言った。