「神崎さんって笑うと可愛いんだね」


「え……?」


野田くんは顔を真っ赤にしながらそんなことを口走った。



「あ、いや……笑うところいいなって」


「ふふ、ありがとう」


時間が戻ってから私には笑顔が増えた。それはもちろん、中里くんのおかげだ。

あとでお礼を言わないとね。



「連絡先交換してもいい?」


「うん、いいよ」


私は野田くんと連絡先を交換した。

家族以外の連絡先が昨日と今日で2人に増えた。たったそれだけの事なのに私はとても嬉しかった。


「じゃ、これからよろしくね」


「こちらこそ、よろしくね」


私と野田くんは少しばかり話をしてからそれぞれ自分の家へと帰っていった。





その夜、私は中里くんにお礼をするためにベランダで電話をかけた。



「中里くんのおかげで野田くんにちゃんと話せたの。信じろって言ってくれて本当にありがとう」


『それはよかった』


「そういえば、どうして野田くんは大丈夫だなんて言ったの?」


『神崎の葬式の時、野田は誰よりも悔しそうに泣いてたんだ。だからきっと神崎のいじめたことに罪悪感があるんだって思ったんだ』


だから私と野田くんを二人きりにしたんだ。ちゃんと話し合いをさせて彼に罪悪感を持たせないように。