『お前はまだ生きなきゃダメだ！』

『生きることって素敵なことなんだ』

『楽しいことも辛いこともある』

『時間はみんな平等で必ず終わる』


真っ暗な世界で生きることについて熱く語る声が聞こえてきた。

今の私には到底心に響きそうの無い言葉だけれど、熱心さだけは伝わってきた。


あなたは誰？


聞いた事のない男性の声だった。私は夢の中で何度も何度も彼に名前を聞いたが、答えてはくれなかった。

すると、彼の言葉に被せて聞き覚えのある歌が聞こえてきた。私の大好きなアーティストの名曲だ。

しかし、次第にその音量は大きくなり、男の声は聞こえなくなっていった。更にその歌は音量を増し、私の頭の中の隅々にまで響き渡った。


「うるさいっ……」


私はゆっくりと手を伸ばし、その音の主であるスマホを手に取った。目をゆっくりと開け、画面に表示された“停止”のボタンを押して音を止めた。


「……変な夢見たなぁ」


私は大きな欠伸をしながら呑気に起き上がった。


「あれ……ここって……」


視界にあるのは間違いなく私の部屋だった。


学校の屋上から飛び降りたんじゃなかったっけ？ていうか、今日って何日？


私は日付を確認しようと充電器に繋がれたスマホを手に取って画面をつけた。