「神崎さんのこと友達を傷つけたって人だってずっと思ってた。だからいじめられても自業自得じゃね?って見て見ぬふりをしてた」


「……そう、だよね」


どうしよう、声が上手く出ない。
何か言われたら、されたらどうしよう。

逃げたい。今すぐ逃げ出したい。



「でも神崎さんが中里と話してるの見て、本当は違うんじゃないかって思った」


「え……?」


「本当のこと言ってよ。信じるかどうかはそれから決めるから」


野田くんを信じてもいいんだろうか。私が全てを話したとして、その話をしっかりと受け止めてくれるんだろうか。

私の話を悪い方へと変えて皆に流すんじゃないだろうか。



『信じてやって』


逃げてしまおうとまた1歩後ずさりすると、中里くんのメッセージを思い出した。


信じてもいい、のかな。
野田くんのことを。


野田くんの真剣な眼差しを見ていると、いつの間にか声が出ていた。



「……1年の時、近藤くんに告白されて付き合ったのは知ってるよね。私も近藤くんのこと気になってたから嬉しかった。だけど、2ヶ月だった頃、変な噂が流れたの」


「神崎さんが夜に男と歩いてたってやつ?」


「うん。それは本当だけど、バイト先の先輩が夜遅いからって送ってくれただけなの」