「野田いい?神崎も一緒だけど」


野田くんは私の方を見つめて少し考え込むような表情を見せた。


お願い、そんな顔でこっち見ないで……。


「んじゃ、神崎さんも一緒に帰ろ!」


あれ、思ってたのと違う。

もっと邪魔って訴えかけるような顔をするって思ってたのに……。


「あ、うん」


「んじゃ、ホームルーム終わったらな」


野田くんはそう言うと自分の席へと戻っていった。


「どうした?もしかして野田にいじめられたことでもあったか?」


「ううん、そんなんじゃないよ」


野田くんは私の事、どう思ってるんだろう。私、本当に一緒に帰って平気なのかな?



ホームルームが終わると、野田くんが私達の席にやってきた。


「帰ろうぜ〜」


その言葉はハッキリと中里くんだけでなく、私にも言っているように聞こえた。


「神崎、早く行こ!」


中里くんに急かされ、私はそのまま2人と多くのクラスメイトの視線に見送られながら、教室を出ていった。



「野田って野球部なの?すげぇ、カッコイイじゃん」


「中里は何も部活入らねぇの?」


「今は特にないかな」


私は2人の話を聞いているだけだったけれど、楽しそうに話す2人をみて私もなんだか楽しかった。