私と中里くんが話していると、クラスメイトの野田 一太(ﾉﾀﾞ ｲﾁﾀ)が割って入ってきた。

彼はいじめには興味が無いタイプで私がいじめられている時は基本、無干渉。だけどやり過ぎている日とかは時々止めに入ってくれる、そんな感じの人だ。


「あー、悪い。今日は神崎と帰るから」


「え？」


中里くんが私の名前を出すと野田くんは私の方に視線を向けた。


「一緒に帰る約束しましたか……？」


私が恐る恐る敬語で尋ねると、中里くんは笑って言った。


「今した」


なんと強引な……。

でもこのままだと私と一緒にいるせいで中里くんまで色んな人から白い目で見られるかもしれない。


「私と帰るより野田くんと帰った方が楽しいと思うけど。せっかくの高校生活なんだし、楽しまないと」


中里くんは少し不機嫌そうに頬をふくらませてあのなぁと言った。


「誰と一緒にいて楽しいかは俺が決めることだから。でも神崎が俺に気を遣って言ってくれたんだろうなって分かってるから、それはありがとな」


「あ、うん……」


「ってことで3人で帰れば問題なし」


「「え？」」


私と野田くんは声を合わせて楽しそうな中里くんを見つめた。