あの虹が見えた時、私はあなたに恋をする

「……」


「黙ってないでさ〜なんとか言ったら？あ、それとも男以外と喋りたくないとかぁ？」


「ちょっと、凛子！それだったらまじてヤバくね？」


とそこに磯貝さんやその取り巻きが参加し、私への攻撃が始まった。


「こんなビッチと一緒のクラスとかまじ最悪〜だからお掃除しよっか！」


磯貝さんはそう言って水玉の可愛い水筒を取りだした。

とても嫌な予感がした。


「さぁ、綺麗になーれ！」


彼女は水筒の蓋を開けて私の頭の上でそれを逆さまにした。べっとりとした液体が私の髪の毛から滴り落ちた。

何これ、ベタベタする……。


「明奈〜何かけたの？」


「ああ、砂糖いーっぱいの紅茶」


「うわー明奈ってば、悪女〜」


周りの人はみんなケラケラと笑い、私の心にどんどん銀色のナイフを刺していった。


もう耐えられない。


私は机の横に掛けていた体操服を持って席から立ち上がった。


「あっれ〜そんな状態でお出かけですかぁ？」


できるだけ私の事をバカにする声を聞かないように急いで教室を出た。

廊下を出てトイレの方へと向かうと、中里くんが隣のクラスの女子達に囲まれているのが見えた。彼女達に見える中里くんを見て一瞬、胸が傷んだ。


こんな姿、見られたくない。