「火がついたな。湊の奴。」
着替えて戻ってきた健が闘争心を秘めた真っ直ぐ瞳で腕を組みながら翔真を見ていた。
「あんな集中力のある翔真初めて見たぜ。練習の時もどっか余裕あるっつーか。アイツ自身分かってねーんじゃないのか?自分の可能性を。」
出せたら楽しいだろうな。と未茉は笑った。
「あー、王子戦はもっと凄かったぜ。湊。相手を見てギア入れてくっつーか、どっちかってと未茉、お前もそのタイプだぜ。」
「そうか?!あたしはいつも全力だぜ!?」
「神の子なんて言われていても、去年東京ナンバー2相手に全集中力をかけずには勝てる相手じゃない。」
中々面白い奴を見つけたように健は笑ったのは、もうどちらが勝利するかを見切ったような言い回しだった。
『まもなく王子学院高校対荒井高校の決勝戦をBコートにて行います。』
「……時間か。」
場内のガイダンスに健は顔を見上げ、王子のチームジャージの上着のポケットからリストバンドを取り出し付けた。
「あ、それ着けてくれてるの?」
「うん。一昨年のバレンタインにチョコと一緒に未茉がくれてからずっと着けてる。意外と験担ぎになってるぜ?これ」
「ほんと?」
「うん。これで去年もインターハイ出場決めてるし国体も出てるしな。」
「マジか!?あたしもあやかろ」
なむなむとリストバンドに手を合わせて拝み出すと、
「インターハイの切符持って先に待ってるぜ。」
‘じゃあな’と頭をぐしゃっと撫でられて王子学院の七番が会場へと向かっていった。
「おう。」
不安の欠片も全く見せない心強い健が逆に未茉の心の力となった。



