「どうにか、バイト先から1個だけ持ち出せないかな?」


「なに言ってるの? それって泥棒だよ!?」


真弥が驚いて大きな声をあげるので、俺は慌てて手で真弥の口を塞いだ。


「大きな声出すなよ」


「だって……」


「大丈夫。今度返せばいいんだから」


それでも真弥は浮かない顔をしている。


「なぁ、俺たちのデートもっと楽しみたいだろ?」


「え? それはそうだけど……それとカラーボールとなにか関係があるの?」


真弥の質問に俺は大きく頷いた。


「もちろんだ! そのために頼んでるんだから!」


「あたしたちのデートとカラーボールなんて、全然結びつかないよ」


それはそうだろう。