「俺もそう思ってる。恵一がいなかったら、俺はキックボクシングを続けていたかどうかもわからない。やっぱり、同じチームに強いヤツがいないと、張り合いがないよな」


吉之はそう言い、笑って見せた。


「恵里果は同じクラスで、時々キックボクシングの話をしてくるよな。観戦するのが好きだって言ってた」


「そうだよ。一応、ルールも一通りわかってるし、部活の見学にも何度も行った」


恵里果は頷きながら答えた。


残るはC組の貴央と真弥の2人との関係だけだ。


真弥は貴央の後ろに隠れ、小型犬のように怯え震えている。


「貴央と真弥は……」


そこまで言って恵一は口を閉じた。


その表情がどんどん歪み、不審げになっていくのを見た。


「どうして、2人がここにいるんだ?」


恵一の質問に貴央が「そ、そんなのこっちた聞きたいよ!」と、叫ぶ。


貴央の表情は青ざめている。


「ここにいるほとんどが俺と面識深いメンバーだ。でも、貴央と真弥は違う。同じ2年生だからもちろん知ってるけど、それほど会話もしたことがない」