「ねぇ、こんな話し本当に意味があるの? 時計の針は進まないし、意味なんてないんじゃない?」


自分には事故に遭った時の記憶も、目覚めてここまで来た記憶もない。


これ以上会話を続けていても変化があるとは思えなかった。


「そうだな……なにも変化がないもんな」


恵一が顎に指をあてて呟き、教室内を歩き回る。


他にできることがないか、必死で考えているのだろう。


「ねぇ……もしかしたら、大声を出して助けを呼んだ方が早いかも」


そう言ったのは真弥だった。


真弥の言葉にあたしは目を丸くした。


とても単純なことだけど今まで思いつかなかったことだ。


「でも、椅子で窓を割る時にあれだけ騒音が出てたんだよ?」


そう言ったのは恵里果だった。


確かに、真弥が両耳を塞いでしまうくらいの騒音だった。