☆☆☆

そして、現在。


「そうだよ。一緒にショッピングに行かないかって、あたしから誘ったの。だけど珠は約束場所に来なかったの。どうしたのかなって思って心配して、何度もメッセージを送ったけど返事もなかった」


恵里果は当時を振り返って説明する。


「確かに、朝恵里果からメッセージが来たのは覚えてる。それで準備して家を出て……。そこから先の記憶があいまいなの」


思い出そうとすると、やっぱり頭痛がした。


事故のショックを思い出させないための自衛なのかもしれないが、今は邪魔で仕方なかった。


「そっか……。でも、総合して考えると珠は約束場所へ到着する前に事故に遭ったことは確実だよね」


恵里果の言葉に「たぶん、そうだと思う」と、頷いた。


どうやらあたしは土曜日の午前中に事故に遭ってしまったようだ。


そこまで分かった時、もう1度時計へ視線を向けた。


しかし、長針は動かない。


それを確認して、あたしは大きく息を吐きだした。