顔を上げて「平気だよ」と、答えるしかない。


やると決めたなら、できるなら早く終わらせてほしかった。


「事故に遭った日の朝から思いだしてみたらどうかな?」


そう言ったのは真弥だった。


相変わらず顔色は悪いけれど、貴央がずっと真弥の手を握りしめているので、少し気分が落ち着いているようだった。


「自分が事故に遭った日がいつなのか、覚えてないの」


あたしが左右に首をふってそう言うと「先週の土曜日だ」と、恵一が躊躇なく言った。


恵一へ視線を向けると、なぜが視線を逸らされてしまった。


「土曜日の朝……?」


あたしは空中に視線を投げ出してその日の出来事を思い返した。


「土曜日は確か、恵里果と遊びに行く予定にしてたと思う」


思い出したのは土曜日の朝の光景だった。


その日、なんの予定もなかったあたしは朝8時頃に起きだして、のんびりとご飯を食べていたんだ。


その時恵里果から遊びに行かないかというメッセージが入った。