「ずっとって、嘘でしょ……」


あたしの小さな呟きは、みんなの泣き声によってかき消されてしまった。


「あんたさえいなければ、吉之はあたしのものになるのに! 試合だって、恵一さえいなければ吉之がトップになれるのに!!」


恵里果は駄々っ子のように泣きじゃくり、床を拳で殴りつけた。


何度も何度も繰り返して。


ただ好きだった。


それだけの気持ちがここまで人間を暴走させたんだ。


「あたしが悪い。恵里果の一番近くにいたあたしが、恵里果の気持ちに気が付いていなかったから、今回の事件が起こった」


あたしは泣きながらそう言い、黒板に自分のしてしまった罪を書き記した。


絶対に消えないよう、何度も何度も文字の上をなぞり、大きく、太い文字で書く。


《恵梨佳の苦痛に気が付かなかった》


あたしがその文字を書き終えた瞬間……。


カチッという、あの音が教室に響いていたのだった……。