会長候補はSweets☆王子!?

「っるせーな。アンタさ、しらばっくれたって無駄だぞ?」

「ふざけるな! このガキが。私が何をしたと言うんだ!?
 いいから、離せ! 私は無関係だ!!」


 あたしは、まだ唖然としたまま、二人のやり取りを……自分のすぐ間近で言い合うその光景を見つめていました。
 まだ、両足全体に拡大した震えは小刻みに続いています。


「俺、さっきからぜーんぶ、見てたから。
 オッサン、アンタ今とっさに左胸ポケットに、ペンを隠しただろ?
 ほら! そのブルーのペンだよ」

 池永君は、口元をヒクヒクさせた表情で、男性にジリジリとにじり寄って行きます。その顔は半笑いになっていながら、瞳は全く笑っていません。

(何? 怖い……凄く怖いよ~!)


「バカな! ペンくらいビジネスマンなんだから、持ってて当然だろ!?
 ちょうど、朝のミーティング用の文面を思い付いたんで、手帳にメモしようとしただけじゃないか。何を言うんだキミは!?」


 憤慨している彼は、池永君だけではなく、あたしの方にもジロリと意地悪そうな睨みを効かせています。

 すると、ヒョイっとそのペンをかすめ取った池永君が、半透明のキャップ部分を取り外し、ノッキングレバーを下げました。

「あっ!?」と中年紳士は小さく悲鳴を上げます。