婚約破棄された悪役令嬢は、気ままな人生を謳歌する

 大臣であるラスカルをもてなそうとしているのは分かるが、騒々しい空気を好まない彼はうんざりしていた。この国の人間は、外交といえばパーティーしか思い浮かばないのか。

 それに、王宮内の装飾の安っぽさにも、ラスカル大臣は呆れていた。

 ポルトス王国は、芸術の国だ。国内外より数多の芸術家を集め、王宮内は絵画や彫刻で埋め尽くされている。ただ着飾って話をするだけのパーティーなど、あまり開かれない。皆で芸術を愛で、論じ合う、聡明なひとときを過ごすことの方が圧倒的に多いのだ。

(しかも、アッサラーン王は何をしている? なぜ、息子の暴走を抑止しない?)

 病弱で高齢のアッサラーン王は、スチュアートに外交のほとんどを任せ、自身は自室に引きこもっている。ちなみに遊び好きな王妃は年がら年中外で豪遊三昧で、城に戻ってくることはほとんどないと聞いた。

(この国は、終わりだ。国交を結ぶ価値などない)

 ラスカル大臣は、おもむろに立ち上がった。

 そして、金仕立ての椅子にだらしなく腰かけ、下品な笑い声を響かせているスチュアート王子の目前に、厳かに歩み出る。

「スチュアート殿下。私は、そろそろお暇しようと存じます」