何だかよく分からないが、とにかく彼に用はない。やりたい趣味は山ほどあって、人の相手をしている暇などないのだ。

「アンジェリ―ナ様? どうかされましたか? ものすごい音がしましたけど」

 箒を手にしたララが、階段から降りて来た。

「なんでもないわ」

 アンジェリ―ナはにっこりと微笑むと、再びリストを眺めるべく食堂へと帰って行く。

 その途中、ふと先ほどの男の顔が思い浮かんだ。

(そういえば、どこかで見たような……)

 結局思い出せず、まあいいかと開き直り、アンジェリ―ナは次なる予定をたてることに専念したのだった。


「『恋愛観察バラエティの録画を全部見る』か。これって、なかなか難しいわよね。ていうか、絶対無理よね」

 アンジェリ―ナはリストの一文に目を止め、思い悩んでいた。

 前世で早期リタイヤ後に、録画溜めしていた恋愛観察バラエティを一気見しようと計画していたのだ。前世のアンジェリ―ナは、とにかく恋愛観察バラエティ好きだった。

 自分が恋愛とはほど遠い人生を送っていただけに、他人の恋愛に憧れを抱いていたのもある。

 だが、亡くなる前の一年は仕事に追われていて、全く見ることができなかったのだ。