婚約破棄された悪役令嬢は、気ままな人生を謳歌する

「そういうことになる。それでも私は、正妃との間に生まれたお前を、次期後継者にするつもりで育ててきた。だがお前の所業にあきれ、王の器ではないと悟り、ビクターにその素質があるかどうかを確認していたのだ」

 スチュアートの顔が、サッと青ざめる。

 スチュアートはおそらく、この国には自分以外に王位継承権を持つものがいないと奢っていた。そのため我儘し放題で生きてきたが、それが見事に覆されたのだ。

「このことは、ランバート公爵家にも告げてある。娘が不当な理由で塔に幽閉されながら、彼らが正式に異議を申し立てなかったのはそのためだ」

 言い終えると、王はローブを翻し、床にひれ伏したままのビクターの前に歩み寄る。

「顔を上げろ、ビクター」

 王命通り顔を上げたビクターの目には、いまだ戸惑いが滲んでいる。