婚約破棄された悪役令嬢は、気ままな人生を謳歌する

「ですが、私以外に王家の血筋を引き継ぐ後継者はいません。父上がどんなに私を見限ろうと、私がいずれ王位に就くことは変えられない事実でしょう?」

 すると王は、少しだけバツが悪そうに首を掻く。それから、ゆっくりとビクターに目を向けた。

「それが、そうでもないのだよ。だから確認していたのだ、彼の動きを」

「――は?」

 スチュアートが、低く凄んだ声を出す。

「なぜ急に、ビクターが出てくるのですか?」

「彼は、私の庶子なのだ。このことを知っているのは、王宮内のごく一部のものだけだが」

「庶子……?」

 スチュアートが、驚きの眼差しをビクターに向ける。ビクターの方でも事の状況を理解できていないようで、困惑の表情を浮かべている。

「私には妻を迎える前に、召使いの恋人がいた。妻はそのことに激怒し、結婚後すぐに恋人を城から追い出した。だが彼女は、すでに子を身籠っていたのだ。彼女亡きあと私はその事実を知り、幼い息子をいずれは護衛騎士にするために、お前の乳母に預けたのだ」

「……つまりビクターは、私の母親違いの兄ということなのですか?」