婚約破棄された悪役令嬢は、気ままな人生を謳歌する

「しばらく様子を見ておったのだよ。もちろん、塔に幽閉されたアンジェリーナのことは気になっていた。せめてもの罪滅ぼしにと充分すぎるほどの物資を送ってはいたが、それだけで許されるようなことではないこともわかっておる」

 アンジェリーナは、ハッと目を見開いた。

 肌触り抜群のリネンや分厚いベーコン、高級蜂蜜。およそ罪人に贈るとは思えない物資の数々は、王が手配していたものだったのだ。

「だが、どうしても確認したいことがあった」

「確認、ですか?」

 ビクターが、眉を顰めた。王は頷くと、今度はスチュアートに顔を向ける。

「私に相談もせず、アンジェリーナに婚約破棄を言い渡した時点で、お前のことは見限っていた。そもそも、貴族と平民は結婚できない。王宮内に混乱をきたすだけだ。そのようなことも理解できない人間には、国を任せられない」

 スチュアートと、先ほどからずっと立ち尽くしたままのエリーゼを交互に見やりながら、王が言う。

 スチュアートが、唇を噛みしめた。だがすぐに、彼は勝ち誇ったような笑みを浮かべる。