「虫ではなく、ヤドカリにございます」
「どうでもいいっ、早く何とかしろ! うわっ、私の身体をよじ登るな!」
「スチュアート様は、大きな宝石のついた指輪をたくさんされていますから。ひとつぐらい、その子たちにあげてはいかがです?」
「あげるわけがないだろうっ!?」
くそっと悪態を吐くと、迫ってくるヤドカリを掃おうと、スチュアートは手にした剣を振り上げた。だが、カキンッという爽快な音が、それを阻止する。
ハッとしたスチュアートは、いつの間にかこの部屋に侵入していた目の前の男に目を向けた。癖がかった黒髪に、身じろぎせずにスチュアートを睨む鋭い碧眼。よく知っている男だ。
「ビクター……」
苦い声を出せば、ビクターは剣を構え直しながら、よりいっそう瞳に殺気を漲らせた。
「よくここが分かったな」
「アンジェリーナ様が忽然といなくなり、塔の近くに住む者たちに聞き込みをしたところ、城の者と思しき人間が数日前から塔の周りをうろついていたという情報を耳にしましたので。もしやと思ったのです」
「なるほどな。だが、お前ごときが私に向かって剣を向けてもいいと思っているのか?」
「アンジェリーナ様のお命を狙うものは、俺はたとえ誰であろうと敵とみなします」
ビクターの声が、狭い室内に凛と響く。それからビクターは、スチュアートの背後に座っているアンジェリーナに向けてうっすら微笑んだ。
「どうでもいいっ、早く何とかしろ! うわっ、私の身体をよじ登るな!」
「スチュアート様は、大きな宝石のついた指輪をたくさんされていますから。ひとつぐらい、その子たちにあげてはいかがです?」
「あげるわけがないだろうっ!?」
くそっと悪態を吐くと、迫ってくるヤドカリを掃おうと、スチュアートは手にした剣を振り上げた。だが、カキンッという爽快な音が、それを阻止する。
ハッとしたスチュアートは、いつの間にかこの部屋に侵入していた目の前の男に目を向けた。癖がかった黒髪に、身じろぎせずにスチュアートを睨む鋭い碧眼。よく知っている男だ。
「ビクター……」
苦い声を出せば、ビクターは剣を構え直しながら、よりいっそう瞳に殺気を漲らせた。
「よくここが分かったな」
「アンジェリーナ様が忽然といなくなり、塔の近くに住む者たちに聞き込みをしたところ、城の者と思しき人間が数日前から塔の周りをうろついていたという情報を耳にしましたので。もしやと思ったのです」
「なるほどな。だが、お前ごときが私に向かって剣を向けてもいいと思っているのか?」
「アンジェリーナ様のお命を狙うものは、俺はたとえ誰であろうと敵とみなします」
ビクターの声が、狭い室内に凛と響く。それからビクターは、スチュアートの背後に座っているアンジェリーナに向けてうっすら微笑んだ。



