婚約破棄された悪役令嬢は、気ままな人生を謳歌する

 にやりと笑うと、アンジェリーナに見せつけるように、スチュアートはエリーゼにキスをした。

(俺とエリーゼのキスを見て、深く傷つけばいい……!)

 これは、スチュアートの目の前でビクターとキスをした、アンジェリーナへの復讐だった。あのときののたうち回るような悔しさを、彼女も味わえばいいと思ったのだ。

 エリーゼと唇を重ねながらちらりとアンジェリーナを見れば、彼女は目に見えて青ざめていた。呆然自失の状態で、キスをしているふたりを見つめている。

 スチュアートは優越感に満たされながら、エリーゼから唇を離した。

「どうした、アンジェリーナ? 顔色が悪いようだぞ?」

 するとアンジェリーナは「うっ」と口元を抑え、嗚咽をこらえるような仕草をする。

「スチルはあくまでもスチルであって、生で見るものではないわね……」

「何だ? 何を言っている?」

「ごめんなさい。あまりの気持ち悪さに、気分が悪くなってしまって」

「き、気持ち悪いだと……?」

 スチュアートは、眉間をひくひくさせた。