ビクターは、アンジェリ―ナのために作られたキャラクターだ。

 そのため一途にアンジェリ―ナを愛し、求めようとする。だが、あくまでもそれはビクターの意志ではなく、ゲーム上の設定に左右されているのだ。

(気の毒な人)

 この世界は広い。女だって無数に存在する。

 アンジェリ―ナがこの塔でネクラ生活を楽しんでいるように、彼だってシナリオを越えて別の道に飛び込めば、よりよい人生を送ることができるはずなのに。

(これ以上近くにいるのは、お互いのためによくないわ)

 アンジェリ―ナは、心に決めた。

 ビクターを、アンジェリ―ナという呪縛から解放し、彼に自由を与えよう。

 そしてアンジェリ―ナ自身もまた、何事にも心乱されることなく、ネクラ生活を一途に満喫するのだ。