婚約破棄された悪役令嬢は、気ままな人生を謳歌する

 既に年老いていた男爵は、間もなくして帰らぬ人となった。彼の遺言から、資産の一部がエリーゼに分け与えられることとなった。

 そのとき、エリーゼは悟ったのだ。

(男なんて、所詮はクズよ。いずれはこの国で一番の男を陥れて、のし上がってやる)

 目をつけたのは、ここアッサラーン王国の王子スチュア―トだった。

 年月をかけ、エリーゼは用意を周到に行った。男たちを次々に陥れ、情報網を得て、スチュアートを手中に収めるための策を練りに練ったのだ。

 そして王子が狩りに出かけるという情報を入手し、賊を装った知り合いの男どもに襲わせた。果敢にスチュアートを守ったエリーゼに、すぐさま彼は興味を持った。

 あとは、面白いほどに全てがトントン拍子だった。

 長年男を夢中にさせる研究を重ねただけあり、スチュアートはすぐにエリーゼの虜となる。婚約者を追い出し、隣にエリーゼを据えた。

 豪華な王宮内、煌びやかなドレス、甘いお菓子の数々――エリーゼの気分は、すでに王太子妃だった。つぎはぎだらけの服や、食べるのにもやっとの毎日とは、永久に決別したのだ。