婚約破棄された悪役令嬢は、気ままな人生を謳歌する

 “悪魔の塔”への幽閉は、社会的な死を意味する。また、その劣悪な環境から、囚われるなり命を落とす者が続出していた。アンジェリ―ナが王宮に戻ってくることは、まずあり得ないだろう。

 スチュアートのあまりに横暴なやり口が非難され、運よく幽閉を解かれたとしても、そのときまで彼女が生長らえている保証はない。

 ビクターは、喉を掻きむしりたくなるほど後悔した。

 なぜ、彼女をこれほどまで想いながら、それを素直に言葉や態度で示さなかったのか。

 冷たくあしらったところで、アンジェリ―ナが自分に心奪われるわけがない。

 愚かな自分は一体、何を期待していたのか。

(必ずやり直してみせる)

 心に誓ったビクターは、迷うことなく騎士団を退任した。あらゆる人間がビクターを説得し、引き留めようとしたが、彼は全く聞く耳を持たなかった。

 そして引継ぎを終えてすぐに、アンジェリ―ナがいる“悪魔の塔”に向かったのである。

 彼女に、心から愛していると伝えるために。