「昇さん、わかんないよ……」 あたしはこの瞬間が来た時、もっと取り乱すと思っていた。 気が狂ってしまうんじゃないかって、思っていた。 だけど実際は、逆だった。 まるで感情の扉が防水仕様にでもなったみたいに、何も漏れないほどに閉じている。 まだ生きているみたいな温かい頬に触れてみても、悲しいとかいう感情は、出てこなかった。 面白いくらい、何も感じない。 心が、機械にでもなったみたい。