雨の日は暗くなるのが早くて、あと少しのはずのゲニムには着かないまま日没になった。 あたしは唯一の出来ること、天幕張りをいつものように済ませて、渡河で使い果たしたカロリーをもうこれ以上使わないようにと、天幕製の寝袋を準備する。 「阿久津の形見だ」 「え?」 そう言って、昇さんがくたくたのバナナを差し出してきた。 「渡ったらみんなで食おうと思って、3本だけ軍服に挟んでおいたんだ」 「昇さん……」 「阿久津のぶんは半分に分けよう」